本当の自分の気持ちに気づくこと

本当の自分の気持ちに気づくこと

「本当の気持ちに気づく」

 

前回までで、参加者の方から「自分の未来を想像したけど、なかなかイメージできない」「根本の原因を

解決しなければ変わらない気がする」とおっしゃる方がいらっしゃいました。

自分のなりたい未来のイメージができる人もいれば、しにくい人もいます。

 

もちろん、そこにはしっかりとした『理由』があります。

このグループでは参加者の方の抱えている問題を、しっかりと自分の力で解決し、自信を持って前に

進んでいくのを目標としていますので、もちろんそこを丁寧に扱わせていただきます。

 

「なりたい自分」というのは、自分が手に入れたい理想の状態です。

しかし、そこに向かって、進んでいても「でも、そんなの無理に決まっている」「そうなれる気がしない」

「自信がない」という思いを一方で抱えている方も多くいます。

 

車で言うと、アクセルを踏みながら、ブレーキを踏んでいる状態です。

そうすると、前に進むには抵抗がありますし、なかなか前に進んで行きません。

スムーズにすーっと前に進むには、そのブレーキを解除してあげることが必要です。

 

そのブレーキとなっているものが「スキーマ(ビリーフ)」と言われるもので、その多くが今までの

経験によって成り立っています。

 

※スキーマとは例えば次のようなものです。

例)私は愛されない。自分は人より劣っている。仕事はいつも完璧にやらなければならない。

   人には愛想よくしなければならない。自分の意見より、相手を優先しなければならない…

 

ではその「スキーマ(ビリーフ)」は全く役立たないものなのか、というとそうではありません。

子どもの時に母親に「ちゃんと勉強しなさい」「もっといい点を取らないと、ちゃんとした大人にならないわよ」と言われ、テストでいい点を取った時は褒められ、悪い点を取ると怒られる、という経験を積み重ねると

その子の中に、母親から植え付けられた価値観が定着していくのです。

 

子どもの時に、親の言うことに従うのは、生存的にみると、理にかなっているのです。

まだ子どもの時は、自立していません。食事も、住む場所も親に依存しています。

だから親の機嫌が良ければ、食事も与えられたり、安心して生活できる可能性が高くなります。

逆に、親の機嫌が悪ければ、食事が与えられなかったり、怒られたり、不安な中で生活することになります。

だから人というのは、小さい頃は、できるだけ親の機嫌がよくなるように振る舞ったり、従ったりするのは

本能的な働きなのです。

そして、それが積み重ねられると、いつしかそれが『自分の価値観(スキーマ)』として定着していくのです。

 

例えば「何事も全力で取り組まなければならない」というスキーマを持っている人がいたとします。

一見好ましいように思えるかもしれません。

でも、そのようなスキーマがあることにより、仕事で困ったことになる人もいます。

仕事を頼まれたら引き受けて、どんな仕事にも全力で取り組むから、毎日残業続きになったりもします。

でもその人にとっては、「何事にも全力で取り組むのがいいことだ」と信じて疑わないから、

どんな時も全力で取り組みます。大変な事もありますが、いろいろなことに全力で取り組み、

それなりに結果を出せる自分のことも、好きだったりします。

 

でもそれが続くとどうなるでしょうか。ある朝、会社に行こうとすると体が重く、動こうとして動けない…

そんなことが訪れたりします。

これは、その人のある側面を見ないようにしていたからこそ、起きたことなのです。

 

このように、人は自分にとっての当たり前のことは、それに対して疑問を抱くことさえもしません。

それは当然のことで、生きてく上での大前提である、と信じて疑いません。

 

例えば、日本の家にアメリカ人が遊びに来たとします。

あなたは彼を家に案内します。彼は当然のように靴を履いたまま家に上がろうとします。

それを見てあなたは「ちょっと、ちょっと。家に上がる時は靴を脱いでよ」と慌てていいます。

どちらも自分のやり方が正しいのだと思っています。

でもよく考えてみると、それは文化的な違いであり、その習慣の元で過ごせばそれが当たり前のことになる、

ということを示してくれています。

 

「スキーマ(ビリーフ)」もその人から見たら当たり前のことでも、他の人からは違ってみえるかもしれません。そんなことに気づいていくと、そのスキーマを変えていく一歩になります。

 

 

今回は「体の感覚」「感情」に注目してもらいました。

なぜ「考え」ではないのでしょうか。なぜなら「考え」は自分の本当の気持ちに嘘をつくからです。

 

先ほどの仕事の例では、仕事は全力でやらなければやらない、と思っているので、自分のそんな姿に疑問を

抱くこともありません。

でも体は、仕事にいくとドキドキするようになったり、何かもやもやするようになったりします。

また、仕事のことを考えると不安になったり、仕事をさぼっている人を見るとなぜだかイライラします。

 

全ての感情には意味があります。

「不安」はこれから何か悪いことが起きそう。もし起きたら自分の力じゃ対処できない。

「怒り」は自分の望まないことが起きている。やりたくないことをやっている。

など、すべての感情には意味があるのです。

ネガティブな感情にもすべてに意味があり、あなたに対するメッセージなのです。

 

人間がここまで進歩したのは、頭で考えるようになったからです。

一方で、理性的に考えることで、自分に都合悪いことには蓋をして『自分の本当の気持ち』を見ないように

なりました。

「体の感覚」「感情」は原始的な感覚です。心の奥底で感じていることを、メッセージとして伝えているのです。

それを無視していると「うつ病」「パニック障害」のように、強制停止スイッチが入り、動けなくなります。

本当はやりたくないことをやったり、自分ができる以上のことを無理してやると、体の方が「もっと『本当の自分の気持ち』に気づいてよ」「あなたは無理しているから、休まなきゃだめよ」と強制停止スイッチが押されるのです。

 

『自分の本当の気持ち』に気づき、それを大切にした生活や対人関係を気づいていくと、

その強制停止スイッチは解除され、回復していきます。

一方で強制停止スイッチが解除されたように見えても、まだ根本的な解決をしていない人は、同じような状況になれば、再び強制スイッチが押されます。

 

具合が悪くなって仕事を休んで、回復したら仕事に戻ったとします。

でも考え方、働き方、職場の人との関わり方を変えなければ、あなたの無意識(本音の部分)は

「あ~まだわかってないな。よーし、もう一度強制停止スイッチを押そう」ということが繰り返されます。

 

それは、あなたが『自分の本当の気持ち』に気づくまで繰り返されます。

 

 

次回は「スキーマ(ビリーフ)」の起源がどこからやってくるのか?そしてそれが人生にどのような影響を与えているのか探っていきます。

表面的に考え方を変えるのではなく、根本的な価値観を見直し、これからの人生においてどのような生き方を

したいのか、それを考えて頂きたいと思います。

自分が人生をどのように決めたいかが明確になり、自分の本当の気持ちを大切にした生き方を始めた時、

身体は本来の状態を取り戻します。

そういう日が来るのを、楽しみにしていてくださいね。