真実とむきあえばこころは解放される

真実とむきあえばこころは解放される

「真実と向き合えば、心は解放される」

~あなたの姿勢が、全てのカギです~

人生において『衝撃的な体験』をすると、どうなるのでしょうか?

それを体験した以前と、以後では違った世界が広がっています。

例えば、たまたまTVの音楽番組を見ていたら、すごい感動する演奏に出会った。

それ以来、そのアーティストのファンになって、よくコンサートにも行くようになったり、色々なグッズを集めるようになった。

これは最初の出来事が衝撃だったので、それ以来そのアーティストに関する情報を集めるようになったのです。

例えば、カキが大好きで、冬は生ガキを毎年食べていたが、ある日当たって食中毒になった。

とても苦しい体験だったので、それ以降は見るのも嫌になってしまった。

これは一度苦しい出来事を体験して、それ以来、その出来事を避けるようになったのです。

このように『衝撃的な体験』は、その後の人生に大きな影響を及ぼすことがあります。

ネガティブな『衝撃的な体験』を経験した時、強い恐怖・不安などネガティブな感情を体験します。時にはその出来事を「命の危険に関わる出来事だった」と判断するかもしれません。

動物や人間にとって、本能的に命を脅かすような体験や、強い不安、恐怖を感じた体験は、強く心に刻むようにできています。

どうしてでしょうか? 

例えば、ある人が山でキノコを採って食べたとします。そのキノコは実は毒キノコで、食べた後に死にそうな程、苦しい目に会いました。もしこの出来事を忘れてしまったら、また毒キノコを食べて、今度こそ命を落としてしまうかもしれません。

このように、強い不安・恐怖を感じた体験は、しっかりと心に刻まれます。そのような出来事をしっかりと憶えているからこそ、危険を回避し、生き延びることができるのです。

トラウマやフラッシュバックなどは、再びそのような出来事が起きた時に、しっかりと自分の身を守るために覚えているのです。

少しでも似た状況になりそうなものなら、たちまち交感神経のスイッチ(緊急モード)がはいり、その状況に対応できるようになります。

※交感神経が優位になると、呼吸が早くなる、動悸、身体に力が入る、手足に汗をかく、身体の表面の血管  

 が狭まり、手足が冷たくなる、などの状態になります。眠りも浅くなります。

つまり、不安、恐怖を感じた体験をすると、それ以降の似たような体験の記憶をせっせと集めるようになります。

似たような状況になりそうなら、「また前のようにならないかな」と考え、交感神経のスイッチがはいります。

そのような体験を覚えておくのは、全てはあなたを守るためです。

ですから、トラウマや強いネガティブ感情を伴った体験は、1番記憶にしっかりと刻まれるのです。

あなたが覚えていないと思っても、しっかりと心に刻まれているのです。

その出来事のインパクトが強ければ強いほど、記憶の最重要リストの上位に保存されているのです。

そうは言っても、そのような記憶が日常生活に支障をきたしている場合もあります。

例えば、電車で具合が悪くなって以来、電車に乗るのが怖くなったりするのは、日常生活に支障がでるかもしれません。また男の人に強く怒られる経験をして、それ以来似たような男の人を見るだけで怖くなると、外を歩くだけでも緊張してしまいます。

何事もバランスが大事だと言えます。

トラウマの記憶は、自分にとって悪さをするものではなく、自分の身を守るのに必要なものです。

それをちょっと調整して、もっと役立つようにしていきます。

その出来事にまつわる意味づけ、それにまつわる感情を、これから生きていくのに適切なレベルに調整していくのです。

ところで、ネガティブな感情を解放していくには、どうすればいいのでしょうか?

様々な記憶は、感情と共に保存されています。

それがちらっと顔を出したときに、蓋をしてしまうと、その感情の強さも保存されたままです。

何か嫌な記憶が出てきた時に「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせると、どうなるでしょうか。

その時は少し落ち着くかもしれません。でもしばらくすると、また不安になるかもしれません。

記憶に結び付いた感情は、表に出して初めて開放されて消えていくのです。

冷凍庫の中にある氷を外に出すと、しだいに溶けて蒸発していきます。

トラウマはよく『凍り付いた記憶』に例えられます。表に出して光を当てて行くことで、初めて解放されていくのです。

しかし『トラウマ』というのは、それだけで悪い扱いを受けています。

何か恐ろしい、早く消し去らなければいけない記憶、として扱われています。

2度と同じ経験をしないため、自分の身を守るために覚えているので、もっと丁寧な扱いを受けても

よさそうなものです。

『トラウマ→早く消し去らなければいけないもの』『ネガティブな感情→早く解放しなければいけないもの』

『ネガティブな考え→早くポジティブな考えにしなければいけないもの』

最初からそのような先入観があると、開き始めた記憶の蓋を閉めたくなってしまうので、まずはそこから出て来るもの観察してあげるといいでしょう。

「ああ不安だったな」「怖かったね」「~~と感じていたんだな」

「○○と考えていたんだな」「そういう風に思うのも、無理ないよね」

そのように、どのような感情も、考えもあることを認めてあげましょう。

どんな考えも、感情も、大切は私の一部… 

そのように、ただ考えたこと、感じたことを認めてあげましょう。

そもそもネガティブな感情は悪いものではありません。むしろネガティブな感情こそ、生き延びるためには必要なものなのです。

どんな感情もあなたの大切にしているものを、教えてくれます。

どんな価値を大切にして生きれば、心からの幸せを感じられるのかを教えてくれます。

ところであなたはTVゲームをやったことはあるでしょうか?

今はやっていなくても、昔はやったことがあると思います。

昔、ファミコンで『スーパーマリオブラザーズ』というゲームがありました。

『初心者』の頃は、どのボタンを押せばジャンプするのか、どうやって相手をやっつければいいのかを、試行錯誤しながら進めていくでしょう。

『上級者』になると、どのタイミングで敵が出てきて、どのようなタイミングでジャンプしたり、踏みつければいいのか、理解していくでしょう。

さらに『開発者』の立場になれば、どのようなタイミングが出てくるのか設定したり、どのくらいの勢いでジャンプすれば、落とし穴を飛び越えられるのか、プログラムを入力します。

集団療法では、自分を縛っている信念(スキーマ、ビリーフ)となっている出来事を扱い、修正していきました。

自分の持っている、変えたい信念を1つ選んでもらいました。

例えば、「自分は弱い人間だ」「人からいじわるされる」など選ぶと、それに結び付いて、小学校の時にいじめられた記憶が出てくるかもしれません。

その時の感情、考えをまず感じて、あたたかく見守っていきます。

「そんな考えがあったんだな」「そう感じていたんだな」

その時の自分の視点に立って、その出来事がどう見えるか体験してみたり…

その時の相手の視点に立って、その出来事がどう見えるか体験してみました。

さらに、先ほどのゲームの開発者の視点に立って、その当時を動かしているプログラム(どのような信念を持っていれば、そのように考えたり、そのような感情になるのか)を観察してもらいました。

そして、その自分の信念をどう修正すれば上手く行くのか、考えてみました。

さらにその出来事から、どのような大切なものを学べるのか、色々考えてもらいました。

例えば先ほどのいじめの例で言うと「自分が正しいと思って正面から言いすぎると、相手の反発にあう」

「自分が信念をもっと大切に持ち、落ち着いて振る舞う」「弱っている立場の人に、寄り添っていきたい」

「人を攻撃する人は、心の中で攻撃しなければ自分が攻撃される、という恐れを抱いている。勝ち負けで判断する価値観は常に恐れを生み出す。自分が自分でいいと思えるものを目指せばいい」…

どんな学びがあるかはわかりません。

しかし、そのような『衝撃的な体験』こそ、大切な価値を見出すことができます。

一見表面的に解釈すれば「人はみんな裏切る」「人は信用できない」「自分にはどうせ無理だ」…

そこで止まってしまうかもしれません。

もしその先まで進み、あなたの中の真実を手にしたいと思えば、あなたがとても大切にしたい宝を手にすることができるでしょう。

集団療法では、さらに色々な質問をして、今まで気づかなかった視点に気づいてもらいました。

今まで考えてみなかった視点を体験し、何が起こっているかを分析し、どのような信念が自分を突き動かしていたのかを知りました。

よく映画では、このようなストーリーがあります。

悪い組織で作られたロボットが、自分の意志に目覚め、善意をもった組織に寝返ったとします。

ある時、そのロボットが悪い組織に潜入し、そのボスをやっつようとしても、なぜかボスを攻撃しようとしても、攻撃することができない…そんなことが起こったりします。

製造元である、悪い組織のボスは攻撃できないようにプログラミングされているからです。

そのことがわかれば、そのプログラムを修正して、ボスも攻撃できるように修正すれば、倒すことができます。

(映画ではプログラムを修正せずとも、自分の力で何とかなることが多いですが…)

パソコンのプログラムもバグを修正するには、まずはどのようなプログラムを使っているかを知らないといけません。そして、どの部分が悪さをしていて、どのような修正をすれば正常に動くかを知って、初めて修正することができます。

これと同じことは、人にも起こっているのです。

なぜかわからないけれど、グループの中で話していると「自分が変に思われているんじゃないか」

「陰で悪口を言われているんじゃないか」など反応してしまうのは、その人を動かしているプログラム(=信念)があるからです。

自分にはそのようなプログラムが存在していることに気づいて、初めて修正が可能になります。

すこし冷静に分析すれば、いつそのプログラムが作られたかがわかります。

その場面を再度検討し、そのプログラムを持つことで、どのように自分に役立っていたのか、

今はもっと効果的なプログラムがないかを検討し、必要があれば修正していきます。

新しいプログラムを使って上手く行きそうなら、そのまま使えばいいですし、不具合があれば

また修正をしていけばいいのです。

このように、今回は自分を突き動かしている信念を探って、いろいろ検討してもらいました。

今まで気づかなかったことに気づいた時、何かが起こるでしょう。