問題の本質を見極める
2019/02/26 [コラム]
「問題の本質を見極める」
~メリット・デメリット表を使って、考えよう~
物事を決断する時に、自分がどのような観点で悩んでいるのか、ポイントがわかれば決断しやすくなるでしょう。
今日の晩御飯は肉にするのか、それとも魚にするのか…
レンタルビデオを借りに行ったけど、アクション映画にするのか、恋愛映画にするのか…
車を買おうと思うけれど、セダンがいいのか、ワゴン車がいいのか…
色々な場面で、どちらを選ぶのか、悩むことがあると思います。
2つの選択肢で迷うということは、どちらにもメリットがあり、デメリットがあるということです。
もし1ヵ月の給料を、10円と100万円とどちらかを選べるといわれれば、そこまで迷わないかもしれません。圧倒的に一方が良くて、一方が悪い選択肢であれば、そこまで悩みません。
今回はその悩んでいるポイントは何なのか。自分はどんな基準を大切にしたいのかを、考えてもらいました。
「~~と考える」「~~という行動に参加する」という、選択肢について、表を使って考えてもらいました。
まずはテーマを設定します。
例)「集団認知行動療法に参加する」
それについて、「することのいい点(メリット)A」「することの悪い点(デメリット)B」「しない事のいい点(メリット)C」「しないことの悪い点(デメリット)D」について考えてもらいました。
2×2マスに記入していくのです。
例えば「することのいい点(メリット)A」
・自分に対する理解が深まる。
・問題解決の方法を学べる。
・自分を望む方向へ変えていくことができる。
例えば「することの悪い点(デメリット)B」
・自分の内面を直視するのがつらい。
・2時間は長い。
・他の人と話すのが緊張する。
例えば「しない事のいい点(メリット)C」
・参加する労力が省ける
・自分の見たくない面を、見ないで済む。
・お金、時間を、自分の好きなことに使える。
例えば「しないことの悪い点(デメリット)D」
・今の生活が、そのまま続く。
・現在の問題が何かに気付かないまま。
・自分が変わらない。
このように、それぞれの項目に対して、思いついたことをとりあえず書き出してみます。
さらに、それぞれの項目に対して、どれだけ重要かについて、点数を振ります。
点数は、5点(とても重要)~1点(重要ではない)で、それぞれの項目について振っていきます。
それぞれの領域に対して、合計点数を出します。
例えば「することのいい点(メリット)A」の領域では
・自分に対する理解が深まる。4点
・問題解決の方法を学べる。3点
・自分を望む方向へ変えていくことができる。3点
計10点
このように、他の領域にも点数をつけます。
そしてそれぞれの領域ごとの合計を比較します。
またそれぞれの領域を、それをまとめると、と考え要約します。
「することのいい点(メリット)A」→自分の成長
「することの悪い点(デメリット)B」→緊張する時間
「しない事のいい点(メリット)C」→自由に過ごせる
「しないことの悪い点(デメリット)D」→停滞
さらに、AとD,CとBは表裏の関係になっていることが多いので、それぞれについてさらにまとめます。
要約すると、問題の本質に気付くことができます。
AとDをまとめると→ 自分が成長するかどうか
BとCをまとめると→ 自分が自由に過ごせるかどうか
それぞれのまとめで出てきた答えに対して、さらにその先に何を求めているかについて、探っていきました。
自分の成長→色んな状況に対応できる→のびのび生きられる→自分らしさを出して、生きられる→自分の良さを前面に出した姿が、いいと思える…
自分が自由に過ごす→自分のやりたいようにやる→自由にやれてうれしい
そして出てきた2つに関して、自分が心の奥で望んでいるのは、結局のところ何なのだろうか、
ということについて考えてみました。
この2つから考えると「自分らしさを発揮して、のびのびと生きること」という、大きな目的が見えてきます。
いくつかのテーマにおいても、今のように「大きな目的」を探っていくと、共通するものが出てきます。
その目標は、その人が人生において大切にしたいこと、だと言えるでしょう。
先程の例に戻ると、そのような「大きな目的」が見えてきて、それをもう一度行動レベル、思考レベルで考えて生きます。
「自分らしさを発揮して、のびのびと生きること」が自分が人生で大切にしたいことだとすると、どうすればいいんだろう?
まずは自分の良さを知ることかな。自分がやりたいことをやっていくことかな。人に対して、もっと自分の思いを素直に伝えることかな…
など、色々なことが見えてきます。
そして集団認知行動療法は、自分らしく生きる方法を見つける場にしよう。その場で思ったことは、少し言ってみよう。行きたくない時は行く必要なけれど、ちょっと気が向いた時は行ってみようかな…そんな風な結論が見えてくるかもしれません。
ここまでが頭で考えて導いた結論になります。
頭で考えた答えというのは、前回もお伝えしたその人がいいと思った『常識』という制限がかかっていることが多いので、その人が『常識』となっている世界観を反映したものになってしまいます。
「頑張ってやらなければいけない」という常識があれば、行きたくなくても無理して参加しよう、自分の嫌なところもしっかり見つめていこう、と考えて、途中で疲れてしまうかもしれません。
「本音を言うと嫌われる」という常識で生きていると、自分の弱い面などを出さないようにしたり、常に成長していく理想的な目標ばかりを、掲げて、何か内面とのギャップに違和感を感じているかもしれません。
後半は同じような内容をイメージワークを通して、自分は本当に望んでいることは何なのか、というのを理解してもらいました。頭で考えたことと(意識)、イメージワーク(無意識)でのズレがあるならば、そこに自分を制限している「常識」が存在しているので、それについてもいずれ扱っていくといいでしょう。
このように多方面から、検証していくと、自分がどんな結論を出すのが一番満足できるのかを、考えてもらいました。
何かを選択する時に迷っている時は、頭の中で相反する考えが沸き起こっているので、まずは紙に書き出してみるところから、始めてみてはいかがでしょうか?
きっと頭の中が、整理されて少しスッキリすることだと思います。