おとなの発達障害 ~自閉スペクトラム症とADHDの診療~
おとなの発達障害とは、小児期には「かわった子である」とは気づかれながらも、診断や支援などをうけずに経過し、とくに職場や学校などで大人になってから主として対人関係面の問題がおこり、うつや不安、パニックなどの症状をきたすものであります。
発達障害の特徴としては「社会性の問題」「対人コミュニケーションの問題」「物事に固執してしまう・常同的な行動をしてしまう」「不注意」などがあります。
その結果として、うつや不安、そして行動面としては不登校・ひきこもりなどをきたすことがあります。また仕事についてはなかなか一定せず、転職を繰り返すなどもあります。
千葉駅前心療内科では、おとなの発達障害のうち、自閉スペクトラム症、注意欠如多動性障害(ADHD)について診療をおこなっていくこととしました。
★対象となる方は年齢が18歳以上の方となります。
診療の進め方
診療にあたって
結果説明まで至るには1回の受診では終わらず、少なくとも3回程度の受診を要します。心理検査は詳細なテストですと60分~90分の時間を要します。
詳細な検査により発達上のどの機能がアンバランスであるのかがわかります。
得意な分野や不得手な分野などがわかり適性がわかります。
詳細な心理検査は予約制とさせていただきます。
発達診断書は別途内容により2000-3000円自費とさせていただきます。
社会性やコミュニケーション、こだわりの問題などがある。
自閉スペクトラム症の方は子供時代には「わがままである」とか「身勝手であるとか」いわれ、しばしばつらい思いやトラウマ体験となり、大人になるまで外部の者からは気づかれないといったことも多くある可能性があります。
受診により自分自身の特性などを知り今後のよりよき生き方を考えるひとつのきっかけとなってほしいものです。
■社会性の問題
■コミュニケーションの問題
■想像力の問題
■その他
■自閉スペクトラム症(アスペルガー)の「社会性の障害」について
要は極端にマイペースさがあり、場の雰囲気などは無関係に自分のペースで行動する傾向があります。社会生活をするためには、あうんの呼吸、場の理解、暗黙の了解といったものがあります。しかしこれを理解することができずに行動してしまう特徴があります。また思春期以降になると対人関係の過敏さがあり、被害的となることがあり、学校や職場などでいじわるをされている、いじめられている、馬鹿にされているなどと思い、対人関係を気づくことが難しくなってくることなどもあります。
これにより孤立してしまい、友達がいないなどの状態に陥ることも少なくありません。
■自閉スペクトラム症(アスペルガー)の「想像性の問題」について
固執があります。これは特定のことへのこだわり、たとえば、数字に固執する、電車の時刻表に固執する、虫などに固執するなどがあり、他のことをしていても突然その話をはじめるなどがあります。関心のあることにはこのように没頭、固執するわけですが、他のことにはなかなか応用ができないなどがあります。またなにか予定などが変更されるなどのストレスが加わると、それに対処が難しくなるなどがあります。また決まりきった行動をしていてそれが儀式的になっていた場合、それがしないと気が済まなくなり、その先になかなかすすめないなど、融通のきいた行動も難しいなどの特徴があります。
■自閉スペクトラム症(アスペルガー)の「コミュニケーションの問題」について
などがあります。
不注意や多動性、衝動性などを特徴とする発達障害です。
大人になってADHDと診断されるかたは子供時代からずっと悩まされてきたかたが多くおられます。
物忘れが多く、約束やスケジュールなども守ることができずに大人になり、自分の「気持ちの問題ではないか?」とか、「怠けているのでは?」といわれ、ずっと自分を責め続けていることもあり得ます。
決して本人の「怠け」ではないことを知り、自分の特性を把握することは大事でしょう。
■多動性
■衝動性
■不注意
<ADHDの発達機能検査の特徴>
ADHDをしらべる発達機能検査WAISⅢの検査結果の特徴はどんなものでしょうか。
発達機能検査の結果からADHDの特徴がわかってきます。
ADHDでは「作動記憶」「処理速度」の能力が低下していることが多いとされています。
■「作動記憶とは」?
短期記憶ではあるが、単なる記憶だけではなく記憶したものを処理する、操作するための記憶であるといっていいとおもいます。
例えば複数のことをたのまれるとなにをしているかわからなくなる、ほかのことをしているとたのまれたことをわすれてしまう、などのことが多いと作動記憶に問題があることが想定されます。
~ADHDにおける作動記憶の問題の対処には?~
頭の中で処理せずにメモをとること
書いてかんがえることを習慣化していく
ひとつのことをしている間はまわりのひとにはなにもいわないことをはなしをしておく
などでしょうか・・・
■「処理速度とは」?
これはほかのひととくらべて作業のスピードが遅い、足をひっぱってしまう、あることの内容ややりかたを覚えるまでに時間がかかってしまう、などのことがみられれば処理速度が遅いということになります。
~ADHDにおける処理速度の問題の対処には?~
「できるかぎり時間に制限のない作業や活動を選ぶ」
「どれくらいでひとつの作業がおわるのか実質的な時間を測定し本人のペースにあわせた作業計画をねっていく」
「時間内でできる作業内容を再検討していく」
などが対策としてとりうるかもしれません
<おとなのADHD注意欠陥多動性障害における環境調整、生活調整>
ADHDではしばしば生活リズムが不規則となったり、食事を不規則にとったり、昼夜逆転してしまったりして睡眠と覚醒のリズムがみだれたりとすることも多いとされ、結果的に肥満となったりとすることも多いとされています。
このように食事や睡眠そして運動のバランスなども崩れることも多くあり、単に精神心理的な面だけではなく、身体面の問題も生じることがあります。
■ADHDにおける環境調整では
たとえば
<やるべきことをあとあとまで残してしまうパターンの場合>
まずはひとつひとつこなしていくこと、同時に違うことはしない。
作業するときはひとつの作業と他の作業のする場所はわけてやるなど。
<忘れ物が多い場合>
明日もっていくものは玄関の近くにおく。
わすれそうなものは貼り紙をしておいてわすれないようにする。
<約束がまもれない、スケジュールを忘れてしまう>
表にしてめにつくようにはっておく、携帯などのアラームを活用する。
これらのことは自分自身だけではなく家族の協力は不可欠です。