※こどものこころの治療はカウンセリングが主体となります。
よって、お話ができれば、カウンセリングにて治療することが可能です。こどもさんであればなかなか言語化が難しいところはありますが逆に言葉にできれば、よくなることもあり得ます。
※※しかし未就学児などでまだ十分にお話ができない場合
カウンセリングは難しいこともありますのでご注意ください
こども・思春期によくみられる不安障害 ~カウンセリング実施中~
■子どもの社交不安症(過度なあがり症)
社交不安症とは、人から注目されるような場面(人前で話す、電話で話す、会話を交わす)や、恥ずかしい思いをするかもしれないという状況に対して強い不安を感じる疾患です。
人から注目されるような場面や状況があまりにも苦痛で、人前を避けるようになります。
家に閉じこもった生活を送るようになり、日常生活に支障が出てきます。
驚きなのでは、その発症率です。生涯で社交不安を発症する人の割合は13%です。発症年齢が若く、平均 13 歳で、思春期に子どもに非常に多くみられる疾患です。
併存疾患を有する場合が多く、うつ病、その他の不安障害、アルコール依存などを併発します。自然に改善していくことは稀で(自然寛解率 30~40%)、慢性の経過をたどることが多いです。
社交不安には様々なタイプがあります。
1).スピーチ恐怖
人前での発表で異常なほど緊張してしまうタイプです。学校生活でいうと、例えば、国語の授業での一人ずつ音読させられたり、音楽の授業でみなの前歌ったり、学級活動でみなの前自己紹介したりするときに、とても強い不安がおこります。場合によっては、そのような授業を休んでしまうこともあるでしょう。
2). 赤面恐怖
人前でスピーチやパフォーマンスをするときに、「赤面してしまい、みんなに笑われる」と考え、人前にたつことができなくなる症状です。スピーチ恐怖と同時に起こることが多いいでしょう。
3). 会食恐怖と嘔吐恐怖
学校給食など、人前で食事するような場面で、過度な緊張をしてしまうタイプです。「食べてる姿がみっともない、他人にとって深いだろう」と考えたりする人もいます。
また、みんなで給食を食べているときに、「みんなの前で吐いてしまうのではないか」といった不安にかられる症状(嘔吐恐怖)に悩んでいる子供もいます。実際に、嘔吐してしまったことで、みんなの噂になったり、いじめられたり、変なあだ名をつけられたりした経験がある子どもや、他のクラスメイトがそのような目にあっているのを目撃したことがきっかけで発症することがあります。
4). 排尿恐怖
学校のトイレを使用することができない症状です。特に男の子は、個室で大便をすることが、とても恥ずかしいと感じる年ごろです。「大便をしていることを他人に知られたくない、からかわれる」といった風に考え、トイレの個室に行けず、大便を我慢しすぎてしまいます。
5). 腹鳴恐怖
「お腹が鳴ってしまい、皆に馬鹿にされる」「お腹がなってしまい、皆の前で恥をかく」といった考えがうかび、不安になるタイプです。授業中など、静かなところでお腹がなってしまうと、みんなに噂されたり、バカにされてしまうことが恥ずかしいので、静かな授業がとても苦手になってしまいます。
社交不安の治療には、認知行動療法が有効です。その有効性は日本でも実証されています。
■醜形恐怖(自分の見た目を気にしすぎている?)
最近のDSM-5において強迫性障害関連症群に分類されています。
自分の見た目(外見)に大きな欠点があると思い込みや妄想があり、その考えに繰り返し悩んでしまいます。この症状は、自分の見た目を気にしだす思春期の頃に発症しやすいといわれています。醜形恐怖になると、自分の外見の欠点を補ったり、自分の見た目が見にくくないかを確認したりする行動がやめられません。良くあるのは、鏡の前で何度も髪型をセットしたり、化粧を治したり、するミラートレーニングです。また、スマホのカメラをつかってセルフィ―で何度も自分の顔をとって確認します。また、外出するときに、人にみられるのが嫌で、マスクが外せない人もいます。過度なダイエットに興味を示したり、美容整形に対する強い願望が起こることもあります。多くの時間を費やし、深刻な苦悩が生じたり、日常生活に支障をきたしたりします。
醜形恐怖をもっている当事者は、そのことに悩んでいても、自分の症状を明らかにするのを戸惑ったり、恥じたりするため、あるいは自分は醜いと本当に信じているために、長年診断されないことが多いです。
まずは、このような症状がこだわりとか性格の問題ではなく、思春期によく起こる病気なんだと認識してもらい、早期に適切な治療をしてもらうことが有効でしょう。